税金コラム

個人事業者が車両を売却した際の事業供用割合の按分について

個人事業主の方で、事業用で使用している車両の買い替え(下取)をした場合、車両の売却益は、事業所得ではなく、譲渡所得(総合課税)として取り扱われます。

個人事業主の場合、車両の使用割合に応じて減価償却費を必要経費に算入しているケースが多く、その使用割合に応じて、譲渡所得の申告も行わなければなりません。
(家事分については、生活用動産(個人的な車)の譲渡なので非課税となり、申告は不要となります。)

譲渡所得金額の計算方法は、譲渡価額から取得費等を控除した金額となります。
計算例は以下のようになります。

【例】

譲渡価額(車両下取価格):550,000円
取得費(償却後簿価):100,000円
譲渡費用(下取費用):50,000円
事業割合:40%

 550,000×40%=220,000円(車両下取価格)
 100,000×40%=40,000円(償却後簿価)
 50,000×40%=20,000円(下取費用)
 220,000 - 40,000 - 20,000 = 160,000円(譲渡所得金額)

さらに譲渡所得は50万円の特別控除が認められており、譲渡所得金額が50万円以下であれば、所得は発生しません。
つまり下取価格が50万円以下であれば、他の譲渡所得(総合課税)がない限り、申告すべき譲渡所得は発生しないということになります。

もう一つポイントとなるのが、車両の所有期間です。
所有期間が5年以内の場合は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」になります。
短期譲渡所得の場合は、全額が総合課税の対象になります。
長期譲渡所得の場合は、譲渡所得金額の1/2が総合課税の対象になります。

なお、消費税の課税事業者の場合は、事業供用部分のみが課税対象になります。

以上のように、個人事業で事業用と家事用の共用資産を売却した場合は処理が複雑になりますので、間違いのないよう専門家等に相談されることをおすすめします。

【参考】国税庁ホームページ:譲渡所得の対象となる資産と課税方法

筆者:石山有美

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