役員報酬は処遇改善加算の対象となるか

処遇改善の支払先として問題があるかないかの質問で多く取り上げられているのは「役員が介護職員として働いているが、役員報酬しか受け取っていない場合、その者は(特定)処遇改善加算の対象となるのか、対象外となるのか」です。

厚生労働省のQ&Aでは以下のように記載されています。

給与ではなく役員報酬のみを支給されている場合は加算対象となりませんが、当該 役員が介護職員としての勤務実態があり、その労働の対価として支給されている金銭が給与の性質を有している場合は、加算対象となります。
ただし、勤務表・雇用契約書等において上記要件を満たしている(労働者性を有している)ことが客観的に判断できるよう関係書類を整備してください。

出典:厚生労働省「介護職員処遇改善加算 よくあるご質問(平成31年1月版)」より

(特定)処遇改善加算は、介護職員の処遇改善を目的とした制度であり、介護職員の賃金を引き上げることで、介護職員の確保・定着を促進することを目的としています。

そのため、役員が介護職員として業務を行っている場合は、職種に関係なく(特定)処遇改善加算の対象となります。

ただし、役員報酬が非常に高額である場合、(特定)処遇改善加算の対象とならない可能性があります。

具体的には、介護報酬体系において、介護報酬基本点数に相当する額を超える報酬を受け取っている場合です。

以前は、介護報酬において、役員が介護職員として働いている場合でも、役員報酬しか受け取っていない場合は、(特定)処遇改善加算の対象外でした。

しかし、介護人材の確保・定着が課題となっている中、役員が介護職員として働くことが増えたことから、2018年に制度が改正され、役員報酬しか受け取っていない場合でも、役員が介護業務を行っている限り、(特定)処遇改善加算の対象となるようになりました。

上記は、平成30年度介護報酬改定において、介護報酬改定推進検討会がまとめた「介護報酬改定推進検討会報告書」を参考にしています。

このように、改正が行われているのにまだ対応できていない専門家も多いので役員報酬を下げてしまったりする施設がまだまだ多いです。
そういった時流にいち早く対応するためにも、処遇改善についても理解している税務・労務の専門家に依頼を検討されてはいかがでしょうか。

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