労務コラム

令和3年度地域別最低賃金額改定

 北海道最低賃金額が現状の時間給861円から28円引き上がり、令和3年10月1日より時間給889円に改正決定される運びとなっております。(令和3年8月現在)

 そこで、最低賃金引き上げに伴うコスト増に配慮し、コロナ禍で特に業況が厳しい中小企業等を対象とした支援策をご紹介させていただきます。

【雇用調整助成金は休業規模要件を特例的に緩和】
 雇用調整助成金の要件を緩和し、業況特例(売上等が直近3ヶ月平均で前年または前々年同期に比べ30%以上減少)等の対象となる中小企業が事業場内で最も低い時間給を一定額以上引き上げる場合、休業規模要件(中小企業の場合は休業の延べ日数が所定労働日数の40分の1以上)を問わず支給されます。対象期間は最低賃金が引き上がる令和3年10月から12月までの3ヶ月間で、雇用保険被保険者以外も対象とする緊急雇用安定助成金の枠組みで対応となります。

【業務改善助成金は選択コースや対象人数を拡大】
 中小企業が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合に助成する業務改善助成金も、令和3年8月1日から特例的に要件を緩和され助成内容も拡充されます。具体的には、現行制度で最も活用されている30円コースと60円コースの間に「45円コース」が新設され、今年度すでに同助成金を活用した場合でも、もう1度申請できるようになります。
 さらに、コロナ禍で特に影響を受けている事業主(売上等が直近3ヶ月平均で前年また前々年同期に比べ30%以上減少)等に対しては、賃金引き上げ対象人数もこれまでの最大「7人以上」から「10人以上」に拡大。30円以上の賃上げコースであれば、設備投資等として認められる範囲も広げ、パソコンやスマートフォン、タブレット等の端末の新規導入や、乗車定員11人以上の自動車及び貨物自動車も助成対象とされます。

 新型コロナウィルス感染症による経済状況下においても、最低賃金で労働者を雇用している事業場は、賃金の引き上げの準備が必要となります。

執筆:本田 貴江

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