会計事務所職員の独り言 その13
前回は、業績改善の優先順位として販路等の拡大戦略を考える前に、非常に有効かつ、即効性のある対策は単価の改定であると述べさせていただきました。
そこで今回は、原稿スペースの関係上伝えられなかった内容の補足をさせていただきたいと思います。
それでは前回同様、具体的数値を活用して説明させていただきます。
*売上高 1,000万円
粗利 100万円(10%)
経費 110万円
利益 △10万円
上記の企業が、販売単価を変えずに10万円の利益を計上するためには、(110万円+10万円)/10%=1,200万円となりますので、売上高を200万円(+20%)増加しなければならないことが解ります。
では、上記企業が販売単価を改定して同じく10万円の利益を計上するためには、900万円+110万円+10万円=1,020万円となります。
売上高1,000万円+20万円=1,020万円となり、2%の料金改定(値上げ)をすれば、10万円の赤字を10万円の黒字に出来ることが解ります。
それを数字で示すと以下の様になります。
*売上高 1,020万円
粗利 120万円(11.8%)
経費 110万円
利益 10万円
いかがでしょうか。上記から分かることは、当たり前の話ですが単価を改定(値上げ)すれば、値上げ金額イコール利益の増加額になるということです。
私見ではございますが、優良企業に共通する条件は販売単価が高いことが大きな要因の一つであると考えます。逆に業績改善が必要な企業は販売単価が低すぎる(適正単価を下回る)ことが大きな原因であると考えます。
長年の仕事を通じ感じていることは、自由競争の行き過ぎた価格競争により本来あるべき販売価格が必要以上に低下している中で、政府の施策による社会保険料等の拡大などの
社会環境の変化により益々、体力の弱い中小企業にしわ寄せが押し寄せてきています。
その中で、もし赤字企業が現状の単価のままで黒字に転換することは、昨今の人手不足等も考慮すると非常に厳しいと考えます。
なぜならば、売上を上げることに伴う仕入れ資金(必要運転資金増加)及び人件費・設備費の増加は避けられません。
当然、思うように進まなかったときのリスクも考えなければなりません。
しかし、単価改定(値上げは)は、仕入資金(必要運転資金増加)が生じることも無ければ、人件費・設備費の増加も無く、即効性があります。
ぜひ、現在の社会情勢の中で、業績向上(改善)策を考える時の参考にして頂ければと存じます。
何か参考になることがございましたら、幸いに存じます。
著者:國安 浩文