在宅勤務に係る費用負担等
新型コロナウイルスの感染拡大を受け在宅勤務を推進する会社等が増えています。そうした場合に問題点がいくつか出てきています。そのうちのひとつが在宅勤務に係る費用です。自宅で仕事をする場合の費用、例えば業務に使用した電気代・電話代・パソコンなどの事務用品は、本来であれば会社が負担するべき費用となります。そのため従業員に対して在宅手当の支給を考えなければいけないが、支給金額をどうしたら良いのか迷うとこだと思います。
そこで簡便的に在宅勤務に係る費用部分を例えば在宅手当として月額5,000円を一律支給するという手間のかからない方法があります。これの問題点は、従業員の給与所得として課税の対象になるということです。
給与所得として課税の対象とならないためには実費精算をする方法があります。
この方法はかなりハードルが高い方法であり手間がかかりすぎ現実的ではありません。そこで利用したいのがこの算式です。
国税庁は令和3年1月に、「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」にて、従業員が家事部分を含めて負担した通信費や電気料金について、業務のために使用した部分を合理的に計算する【算式】を公表しています。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
例えば電話代は通話明細書で業務使用のための通話に係る料金を確認することができるので問題ないが、電話代には基本使用料も発生していて、スマートフォンであればインターネット接続に係る通信料も同様でしょう。この基本使用料やデータ通信料などについては業務使用した部分を合理的に計算する必要があります。
基本使用料やデータ通信料のうち、業務のために使用した部分を合理的に計算するときの算式は以下になります。
【算式】
今回公表されたFAQによれば給与課税を避けることができます。従業員は領収書などの書類の準備や在宅勤務日数、該当月の日数を確認する必要がありますし、総務部など、それらをチェックし精算をする部署の負担も増加します。社内でなるべく早めに運用ルールを明確にしておいたほうが良いでしょう。
筆者:斉藤 雅弘