インボイス制度がスタートしたことによる今後の振込手数料の処理について
取引先から売上代金を入金してもらう際に発生する振込手数料を負担し、売上代金から振込手数料相当額を相殺されている方は、インボイス制度がスタートしたことにより、金融機関や売上が発行する振込手数料に適格請求書の交付を受ける必要があります。
取引先が多ければ多いほど、売上先から売上代金が入金される都度、適格請求書を保管することはかなりの事務負担になってしまうと思います。
上記事務負担増加に対する対策として、売り手が負担する振込手数料相当額について、売上げに係る対価の返還(売上値引き)として処理をする方法があります。
通常、売上げ値引きを行った場合、返還インボイスの交付義務がありますが、消費税法上、税込1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務は免除されます。経理処理を支払手数料としつつ、消費税区分を売上に係る対価の返還として処理をすれば、売上計上額が少なくなってしまうというデメリットも発生しません。
なお、ATMを利用した場合による振込手数料については、一定の事項を帳簿に記載し保存しなければなりませんが、3万円未満であれば、適格請求書の保存は不要です。
このコラムがインボイス制度スタートに伴い増加する事務負担軽減のお手伝いになれれば幸いです。
筆者:遠藤