段階利益の見せ方
損益計算書には5つの利益が表示されています。
それぞれの説明は省略させていただきますが、損益計算書の上の方から「①売上総利益」、「②営業利益」、「③経常利益」、「④税引前利益」、「⑤当期純利益」の5つです。
対金融機関的には①~⑤のすべてがプラスであることが望ましいですが、すべてがプラスでなかったとしても①~③はプラスで申告したいところです(もちろん粉飾決算は論外ですが)。
そこでたまに悩んでしまうのが、下記のように利益によってプラスの場所もあればマイナスの場所もあるケースではないでしょうか。
②営業利益・・・300万円
営業外費用 400万円(支払利息)
③経常利益・・・▲100万円
特別利益 300万円(固定資産売却益)
④税引前利益・・・200万円
固定資産を売却したとき、固定資産の売却損益は非経常的な損益であることから、簿価と売却価額との差額は固定資産売却益若しくは固定資産売却損として損益計算書の特別利益若しくは特別損失(上記③と④の間)に計上するのが一般的です。
ただ、例えば運送業で車両を100台保有している会社の場合、車両の入れ替えは毎年のように行っているケースが多いのではないでしょうか。
利益の定義は様々ですが、特別利益や特別損失(上記③と④の間)がその企業にとって臨時的偶発的な収益費用であり、営業外収益や営業外費用(上記②と③の間)がその企業の経常的な利益を示すものであれば、この場合の固定資産売却益は毎期発生する経常的なものとして営業外収益として計上することも可能ではないでしょうか。
その場合、先ほどの損益計算書は次のようになります。
②営業利益・・・300万円
営業外収益 300万円(固定資産売却益)
営業外費用 400万円(支払利息)
③経常利益・・・200万円
④税引前利益・・・200万円
運送業の車両は簿価が1円でも100万円以上で売却されることもよくありますので、段階利益に与える影響は大きなものになります。
事例として固定資産売却益をあげましたが、これ以外にも様々なことが考えられると思いますので可能な範囲で工夫できないか検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者 税理士 佐藤友一