税金コラム

中小企業倒産防止共済の活用

連鎖倒産の防止を目的として作られた『中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)』をご存じでしょうか。
この制度は、中小企業の連鎖倒産を防ぐために設けられた共済で、万が一取引先が倒産して損失を被った場合に、それまで積み立てた掛金額の最大10倍(最大800万円)を借りることできる制度です。
例えば、ある日突然大口取引先が倒産して、売掛金が回収不能になってしまった場合、売掛金を回収出来ず、その結果買掛金等が支払えなくなったら、最悪の場合会社が倒産してしまう恐れがあります。
これは特に、特定の大口取引先との関係が強い傾向のある中小企業にとっては極めて深刻な問題であると言えます。

その他に下記のようなメリットがあるため、本来の目的のほかに節税に活用されることで知られています。
 1、掛金が支払時に税金計算上の経費(損金)となる
 2、40ヶ月以上の掛金納付があれば解約時に掛金の全額が戻ってくる
 3、掛金は前納での払い込みも可能である

特に3の前納については、節税対策に使われることが多いようです。
期末において多額の利益が見込まれる時に、期末に12ヶ月分を前納することが出来ます。また、期首から毎月納付(12ヶ月分)をしていた場合でも、期末に12ヶ月分を前納することによって計24ヶ月を損金として計上することが出来ます。

ただし、注意しなければならないのが、本来共済掛金は毎月納付が原則であり前納は特別な方法であることです。
そのため、毎回中小企業基盤整備機構に前納の手続きをしなければ自動的に毎月納付になってしまいます。

逆に節税対策として使ってきたが今期は業績が厳しいという時には、掛金の減額が出来ます。(5千円~20万円の範囲5千円単位で設定可能)
また、減額ではなく掛金自体をストップすることも可能です。ただし、既に支払った掛金が月掛掛金の40倍に達していることが条件となっています。

それでもどうしても資金が必要な時は任意解約で積立掛金が全額戻ってきます。
40ヶ月以上の掛金納付が条件で、40ヶ月未満であれば掛金納付総額が下回ります。

中小企業倒産防止共済は、年間最大240万円を損金にできて、最終的に掛金全額が戻ってきますので、節税に役に立ちます。
また、取引先の倒産から売掛金を回収できず倒産しそうになった場合や、急に資金が必要になった場合に貸付が受けられるなど、メリットがあります。

ただし、法人保険と違って死亡保障の機能はありません。また、掛金は最大で年間240万円、合計800万円までという制限があります。

中小企業倒産防止共済の内容を理解した上で、上手に活用することを考えていただきたいと思います。

筆者:斉藤 雅弘

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