自宅の一部をオフィスとして使用する場合の住宅ローン控除
個人が自宅の一部をオフィスとして使用する場合には、基本的には住宅ローン控除の金額が減額されます。
住宅ローン控除税制はよく知られた制度です。個人が自己の居住用に住宅を取得(増改築も含みます)した場合で一定の要件を満たす場合には、居住開始から10年間(※)は、住宅取得に要した借入金、すなわち住宅ローンの各年の年末残高に応じた一定額を所得税から控除できるというものです。
ただし個人事業者等で、取得した住宅の一部をオフィスとして使用する場合には、オフィス部分については住宅ローン控除の対象外となります。
上述の通り控除額は住宅ローンの年末残高から算定されますが、一部をオフィスとしている場合には面積を基準として住宅ローン年末残高を按分し、居住用部分のみの残高から控除額を算定する必要があります。
またこの計算で用いる面積についても注意が必要です。法令上は「床面積」の割合で計算することが求められています(増改築の場合には床面積ではなく「増改築等に要した費用」)。
そして、通達によればこの床面積とは、「登記簿上表示される床面積」とされています。これは広告やパンフレットで用いられる面積とは測定方法が異なりますので、注意が必要です。
もっとも、オフィス使用部分が概ね10%未満であればこのような按分は求められず、住宅ローン控除をフルに受けられるように税務当局は配慮してくれています。
この通り自宅の一部をオフィスとして使用する場合、オフィス部分については基本的には住宅ローン控除による税額控除を受けることができません。
しかしながら、オフィスとして使用する場合には減価償却費を必要経費とすることができます。
つまりそのオフィスを使用して得た収入から、住宅取得費の一部を必要経費として控除することができるということです。これに関しては2019.02.28の記事「自宅の一部をオフィスとして使用する場合の必要経費」、2019.03.01の記事「持ち家の減価償却費を算定する場合の取得価額について」等をご参照ください。
(※)平成31年度税制改正大綱において、一定の要件を満たす場合には3年間の延長が認められるという改正案が示されています。
筆者:長谷川